先日、小学生になる私の子どもに、次の質問をしてみました。
「普通電車」と「急行電車」と「特急電車」の違いって、知ってる?
すると、子どもは次のように答えました。
「うん、もちろん、知ってるよ。
普通電車はすべての駅にとまる電車。
急行電車は大きな駅しかとまらない電車。
特急電車はさらに大きな駅しかとまらないかっこいい電車。
特急電車だけお金が高いんでしょ?」
あまり電車に乗る機会がないのに、よく理解しているなぁという印象を受けました。
「正解!よく分かったね。」
私はそう答えました。
しかし、大阪の南部地域を支配している南海電車について言えば、実は、上記の回答は微妙に違っているのです。
一体、どこが違っているのでしょうか?
南海本線と南海高野線の話
南海電車には、大きく分けて、2つの路線があります。
ご存知、南海本線と南海高野線です。
どちらも北側の終点は、大阪を代表するターミナルであるなんば駅だと認識している人が多いでしょう。
しかし、南海高野線に関しては、かつて、別の駅が終点だったのです。
その駅とは、汐見橋駅です。
汐見橋駅は、大阪環状線の内側に存在していながら、なんば駅とは異なり、とても寂しい、レトロな雰囲気の駅舎となっています。
大阪に住んでいても、行ったことがない人は多いのではないでしょうか。
昔は、南海高野線は汐見橋駅を起点とし、南海本線はなんば駅を起点としていました。
2つの路線は、岸ノ里駅で交差し、南海高野線の列車も一部が南海本線に乗り入れ、なんば駅発着となっていました。
これが、なんば駅から天下茶屋駅まで高架化されたことにより、南海高野線のほとんどの電車は、なんば駅発着となりました。
そして、80年代に、汐見橋駅から岸ノ里駅までの路線は、高架とは切り離され、折り返し運転となりました。
そして、南海本線は高架化された西側の線路、南海高野線は高架化された東側の線路を使うようになったのです。
その後、岸ノ里駅は、近くにあった玉出駅と統合され、岸里玉出駅に変身しました。
普通電車でも停車しない2つの駅とは?
このように、現在、南海本線と南海高野線は、なんば駅から岸里玉出駅まで、線路が並んでいます。
それぞれの複線が並走しているのです。
ここで、ややこしいのが、もともと南海本線(なんば駅発着)だったけど、高架化により、東側の線路を使わないといけなくなった今宮戎と萩ノ茶屋の2つの駅です。
西側の線路には、南海本線が並走していますが、この2つの駅には、そもそもホームがありません。
停車したくても停車できないのです。
そこで、この2つの駅は、現在、南海本線ではなく、南海高野線の駅として停車することになっています。
南海本線の電車に乗っても、この2つの駅で降りることはできないのです。
ここで、冒頭の質問に戻ります。
私の子どもは、普通電車はすべての駅に停車すると答えました。
厳密には、ちがうのです。
南海本線においては、普通電車に乗っても、上記2つの駅には停車しないのです。
南海電車は、南海高野線について、すべての駅に停車する電車のことを、普通電車とは区別して「各駅停車(電車)」と呼んでいます。
今宮戎駅、萩ノ茶屋駅を含め、すべての駅に停車する電車を「各停」、2つの駅には止まらない電車を「普通」としているのです。
つまり、南海本線に存在しているのは「普通」、南海高野線に存在しているのは「各停」ということになります。
ややこしいですよね。