大阪府堺市、泉北ニュータウンの中心部を走る鉄道が泉北高速鉄道です。
今回、紹介させていただく「栂・美木多駅」もその中のひとつの駅になります。
私が本記事を書いている2019年1月時点において、栂・美木多駅には、駅前に商業施設がありません。
ニュータウンの中心部に位置しながら、哀愁漂う、もの哀しげな駅前風景となっています。
栂・美木多駅に、一体、何が起こったのでしょうか?
昔の栂・美木多地区
かつて、私が泉北ニュータウンに住んでいた35年くらい前は、栂・美木多駅はそれなりに栄えていました。
駅前にはサンクール栂というショッピングモール街と、その中核をなすダイエー栂店がありました。
ダイエーの1階には、ドムドムハンバーガーがあり、名物おじさんがひとりで店を営業していました。
専門店街には、餃子の王将をはじめ飲食店が連なっていました。
子供の頃は、ダイエーで買い物した後、専門店の中にあった「タカラブネ」でシューアイスをよく買ってもらったものです。
サンクール栂の中心部には、緑豊かな噴水広場もあり、多くの人でにぎわっていました。
栂・美木多地区には、桃山台、原山台、庭代台、御池台という4つの地区があります。
それぞれに小学校や中学校、近隣センターが配置され、団塊ジュニア世代の子供達でにぎわっていました。
栂・美木多駅も、なんば駅や堺東駅、なかもず駅に直接つながっているため、通勤・通学に大いに使われていました。
朝、駅のホームはあふれかえるほど満員になり、いつも満員となっていた電車は今でも記憶に新しいです。
隣駅である泉ヶ丘駅と光明池駅はもっと乗降客数が多かった気がしますが…。
しかし、ニュータウンの宿命でしょうか。
私を含め、団塊ジュニア世代の当時の子供達は、ほとんど、ニュータウンの地を離れ、別の場所に旅立って行きました。
その結果、ニュータウンに残されたのは、団塊ジュニア世代の子供達の親世代でした。
子育てを終えた親世代の人たちは、時代とともに高齢化し、高齢化した街はどんどん活力を失っていきました。
現在の栂・美木多地区
桃山台に配置されている堺市立桃山台小学校の児童数の推移を見てみましょう。
1981年(昭和56年)・・・1107名(6学年29学級)
2018年(平成30年)・・・149名(6学年8学級)
この37年の間で児童数は激減しています。
少子高齢化の波が直撃しているといえるでしょう。
人口減は、栂・美木多駅前の商業施設にも大きなダメージを与えました。
2003年、「サンクール栂」は「ガーデンシティ栂」に名を変え、再起をかけました。
しかし、2017年7月、ガーデンシティの中核をなす商業施設であるダイエー栂店が、43年の歴史に幕を閉じました。
2016年頃からは、商業施設内の閉店や移転も相次ぎました。
緑豊かな噴水広場も無残な姿に変わり果て、限りなく寂しい風景にはなっていました。
地元の頼みだった、ダイエー栂店が、まさか閉店するとは、夢にも思いませんでした。
私の栂・美木多地区への想い
私は、ダイエー栂店の閉店情報を聞いたとき、すぐに行動を起こしました。
2017年7月、閉店の少し前に、ダイエー栂店に行き、買い物に行ったのです。
周囲の風景は変わり果てていましたが、
「今まで、本当にどうもありがとう!」
と心の中で伝えました。
私は大阪府堺市の泉北ニュータウン(栂・美木多地区)の出身です。
その後、大阪府内を転々と引越ししてきましたが、私の人生の原点はこの泉北ニュータウンにあると今でも思っています。
衰退しつつある栂・美木多駅。
この先、昔の輝きを取り戻してくれることを、私は切に願っています。